jeudi, décembre 23, 2010

ことばのリミックス&カバー

猫道主催カバー限定イベント「たからものをさがしにいこう!」は本当に楽しくて、みなさんの選んだテキストとアクトがすばらしく、今年最後のリーディングイベントとして参加できて、うれしくてうれしくて、帰ってすぐにブログを開きました(珍しいなーぁ)!

いろいろと語りたいことは山ですが、今年は皆さんに会うたびに感想を聞くことができたのでそれだけでもわたしにとっては宝です!来年もどうぞよろしくおねがいいたします。

今日読みましたテキストは、朗読の場所で出会った人たちからことばを少しずつ頂いて書かせて頂いたものです。間にはわたしのことばで接着しておりますが、テーマを決めてくっつけていくパッチワーク作業がとても心地よく、楽しく(勝手に)させていただきました。快く聞いてくれて、ありがとうねー♪

【本日のメニュー】ーーーーーーーーーー
★「君はそのうち死ぬだろう」忌野清志郎(詩集『エリーゼのために』より)
★「One Too Many Mornings」BOB DYLAN
★「液体になり、まもなく忘れる」(以下、テキスト、抜粋など詳細)
★「十年ゴム消し」より日記を抜粋 忌野清志郎
★「LOVE」 最終章より抜粋 古川日出男
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「液体になり、まもなく忘れる」


心臓の音が
きみの音に応えている
ラッシュが身体を
押し流してくれるよう
つぎのブレーキを
すこしだけ待っている


「ききききききーーーーー」
(トマトに生まれた夢にフェード・イン)


べしゃり
と落ちたカジツは
はじけつぶれ、
赤い液体をまき散らした
そこから湧き出す
ごぼり、ごぼごぼごぼ
泉ができた
床に溢れ出る赤い液体


「トマトジュースは
開封後、一週間以内に飲みきってください。
冷蔵庫の中でも平気で腐るので
腐る前に消費して、
新しいのを 買ってきてください。」

砂と 魔女 以外は
ほうっておけば水になる
んだそうだ
そういうわけで、
ぼくは
この、夢の設定では
ジュースになってしまった

痛み易い
傷つき易い
非常に難しい
偏った愛情を持った
ぼくは、ジュース

液状になるのです。

その赤い赤い液体を貯金してくれたまえ
コツコツと貯金して、
家のなかに水槽を作っておいてくれたまえ

なぜなら、
ぼくの部屋には
サメがくるから
ですよ

すこしなで肩の
小さいやつ

ゆらりと空中漂って
横目でぼくをチラッ
天井近くまで
ぐんぐん旋回する

大抵はそれだけで
ぼくはそいつを歓迎もしなければ
追い払いもしない


ぼくの部屋にはサメが来る
と、ぼくの、
赤い赤い
液体のなかを
ゆうゆうと泳ぐ

ああ、
ああ、
ぼくは、一体、
ぼくは、一体、

わすれていく
わすれていく
わすれていく
昨日までみた
夢の断片を

わすれていく
わすれていく
わすれていく
君に預けていた
未来を

そうして
ぼくは、
とうとう
名前を失ってしまい
ました
もはや、
トマトでも、
トマトジュースでもない

どこにいけばいいのでしょう
「肩書き」らしきものを
失ってしまいました
どこにいけばいいのでしょう

昼下がりの公園
ベンチに腰掛け
陽だまりの下で
だれかが
クリームパンの袋をあけている
遠くで老人たちが
ゲートボールにいそしんでいる
ボールを打っていく 規則的に
クリームパンを噛みちぎる 規則的に
奥歯の動きが
重なり合う タイミングで

もう
声の出し方さえも
忘れている

忘れていく

忘れていく・・・

もはや、液体になってしまった
今となっては
固形だった時の思い出
だけど、ぼくは
固形だったとき
「生きていた」という実感は
なかった
まるで

それでも
容赦なく、容赦なく、
時間はすぎていき
ぼくは
溶けていくのです。

誕生日が繰り返され、
ゆっくりと死へと向かって
出会ったいろんな
ヒト、ヒト、動物、
ヒト、ヒト、草木

命を削って
溶け出しかけたとき
「愛」を
知りました

クリスマスの前夜
ぼくはこういった
「好き」
その偏った情熱で
ますます溶けゆく時間とぼく

その
思い出のリコピンだけ
甘く濡らしました
ほんのり
酸味を出しながら
ぼくを
溶かすのでした


使用曲:
「you looking for」 by co-fusion( DJ.WADA .TANI )
album:[co-fusion+co-fu+mkcs-1012]

抜粋テキスト:
「あさのおいのり」イダヅカマコト
「トマトジュース」吉岡あしゅりん
「サンドウィッチ」笹田美樹
「ぼくの部屋にはサメがくる」市毛友里
「わすれていく」ケイコ
「華 原 朋 美はフィクションです」uraocb
「溶けはじめる時間を食べる」猫道
 (以上のことばのリミックス:後藤理絵)

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