jeudi, décembre 18, 2008

枯れた呼吸

また、冬が胸に入ってくる

肺のなかできらきらの結晶になるならいいのに
凍って貼付いて伸縮を妨げられて
冬に牛耳られた私の左右の肺

この、
胸の騒ぎはカラスの羽根で擦れた血管のせい

この、
酸素を探す舌は器官の中で最も敏感な触手だった

舌を失い
言葉を失い
羽根をもがれた

みっともないカラスになっても
私は息をしている

生を啄んでいることを
開き直ったかのように
道を縦横する人に
見せつけるプライドだけを持って

暗闇で、煙草に火をつける人
彼の側でその煙を失敬した
息が闇を灰色にする
食べ物も喉を通らないのに煙だけは盗む

懐かしい声がして名前を呼ばれた気がした
もう随分聞いていない声なのに
なぜそれが「懐かしい」とわかるものなのか
私はたいして確かめもせず無防備になる

呼吸は、静かに森を湿らせた
森は、私を湿らせた
ようやく、身体を森の奥で休めることが出来るんだ
安心できたと同時に、私はカラスであることを忘れ
また無駄に遠吠えする
もっと、もっと、と、呼吸をし続ける

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