mercredi, juin 25, 2008

リスボン物語 ★★★★★

リスボンへはまだ行ったことがない。
この映画を観て、ポルトガルに旅したくなった。

映画を語りながら、詩的で音楽的(ヴェンダース、またしても恐るべし)。
あらゆる感覚を呼び覚ます。

「だれでもない人」には、だれもが当てはまる。

ロードムービーをお得意とする彼ならではのセンスとユーモアをもって、全神経を「仕事」に注ぐ。

冒頭部の車内からの視点で南仏を抜けてスペイン通過、リスボンに入るカメラワーク、主人公は途中でやっと顔を見せる。
映り込む主人公はすぐにそのキャラクターが見て取れる(さすがのキャスティング)。かなりお間抜けな録音技師。
でも、とても情の深い人物であることも同時にわかる。“足のギブス”という演出で(ヤルな)。それでも、嫌味のないキャラであることがさらにすばらしい。
骨折した足を引きずりながらも仕事仲間の突然のSOSの絵ハガキの中のリスボンに向かう。それも、おんぼろ自動車で。
音。映像。絵。なにかを「創造」するということは、自らを迷路に導くようなそんな時期はあるだろう。
友人の映像作家の"SOS"とは、“非常にまずい状況”だったわけだ。さまよい、漂流したまま戻れないかもしれない、そういった状態にあった。
友情を描きながら、芸術を追求する苦労、貫くことの困難をも見事に描いている。
途中、街の音、音楽、友人のヒトリゴト、虫の飛ぶ音、など音に敏感な彼(主人公)でこそ気付ける要素が鏤められているということなど、演出の繊細さと愛すべきアイディアに満ちている作品だった。
マドレデウスの音楽も美しい。

映画の違った楽しみ方をしみじみと感じさせる。
映画の良さを(押し付けるでもなく)、「映画を通して」教えてくれている映画。

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