lundi, juin 02, 2008

告白/コクハク

わたし、イハンしました

ケイヤクに、
土足で横切るような

あの、工事ゲンバで
耳を、切り、落としました

血が、
このノートを濡らしました

開くと、中まで濡れて
ぐしゃっと、紙はいくつかの塊に

メモに何を書いたのか
何を残しておきたかったのか
わからなくなりました

もう、何を書いたのか
いや、書いたときに
終わったことだったのかもしれない
すでに

血は、
アカじゃない
アカじゃなかった

血には、
言葉もない

血は、
静寂の後
硬く、硬く
まるまって
そこに、根をはる

わたし、イハンをしました
ケイヤク書に血を、落としました

わたし、の、心臓には
穴が残りました

そこには、ひとすじの風が吹いて
涼しい、気持ち
躯が、軽くなった

穴は、もう、もとにもどらなくて
けど、
その穴の形を、指でたどって
はじめて、
後悔の涙というのを流しました
生まれて、はじめて

太陽
ひかり
あたたかい
感じる

コク、ハク、
わたしは、まだ、
死んでない

わたしは、まだ、
死なない

ケイヤク書に
穴は
空いたまま

わたしは、はじめて
自分の力で

そこから
生まれたばかり




この詩が生まれたのは、昨日。
海賊船をイメージしたという店内で、詩人のZULUとケイコが詩を読むというリーディングライブを訪れたとき、お店の目玉である「肉の塊」と薄暗い店内の中、ZULUさんが「せっかくきたんだから、なんか読みなよ?!」という、なかばプレッシャーをかけられ生まれて来た詩に、読むためではなく、あらためて書き言葉として記してみました。

このごろ、若者の心に「死」の匂いが後を絶たず、消えることなく伝染して行くのを黙ってみのがしてしまうのは心苦しい。
とは言え、鬱とはとても怖いもので、いったん支配されたら自分を取り巻くすべてが呑み込まれてしまうのだ。
体験者であれば、たったひとりでも、「誰か」を救えないだろうかと、試行錯誤しながら様々な表現をしている人を、わたしは数人知っている。(詩人ZULUも、その1人)

友人を「鬱」によって失ったら、悲しい。悲しいだけじゃない、ずっと心に何かの意識がつきまとう。

この中にある「穴」も、自分で無理に埋めようとせずに、「穴」があいた人はいっぱいいる。
だから、穴のあいた、すこしポンコツな自分こそ、愛してあげようよ!
そういう祈りと、メッセージを込めて、この詩が生まれたんだと思う。

ありがとう。

決して完成度の高いものではなかったけど、伝わったと、感じてくれた人がいたので、ここにのせてみた。

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